自然に導かれる店舗コンセプトだから顧客支持される

-4視点の調査から自然に導かれる店舗コンセプト-

●店舗コンセプト変更が必要になる時

「開業から15年程過ぎ、当初と比較して住宅開発や競合店も増え、小売環境がだいぶ変わって来ました。その結果、低迷してきている売上を何とかしたいのですが・・・。」

と、ある地方都市のショッピングセンター(SC)から、施設リニューアルの相談を受けました。建物改装の前に周辺環境に合わなくなった店舗コンセプトの刷新が課題でした。

店舗コンセプトを主目的とした場合、エリア分析と商圏内潜在ターゲットにアンケート調査をする方法が有効です。エリア内でweb調査のモニター数も確保できそうでしたので、商圏分析と生活者web調査を提案し進めることになりました。

●無理があるアイディア優先のコンセプトから、4視点の発想へ

未だにコンセプトワークというと、頭をひねって絞り出すアイディア優先の考え方をしている人がいます。アイディア主体の考え方は、どうしても現実にそぐわず無理が出てきがちです。但し、仮説には構想力が必要です。エスノグラフィー的に現場観察や現場の担当者へヒアリングし仮説の方向付けをしました。

そして、この検証を主とした①ジオグラフィック(地理的)、②デモグラフィック(人口統計的)、③サイコグラフィック(価値・心理的)、④ビヘイビア(生活スタイル・行動)の4視点で、客観的にマーケットや生活者インサイトをつかみます。

まずジオ・デモグラフィック分析です。このSCは、広域から来店があるため、GIS(地図情報システム)で商圏のゾーン区分をしました。地域中心駅前の市街地ゾーン、郊外のロードサイド集積ゾーン、このSCが立地する足下の郊外拠点駅前ゾーンと、商業、居住者とも大きく3区分できることがわかりました。

そこで、サイコグラフィック・ビヘイビアを探るため、生活者調査をこのゾーン毎にサンプル割り付けをして実施。生活者調査は、どこの店舗で、何をどの位の頻度で購入しているかなど買物行動、なぜその店を支持しているか、また商圏内の小売環境で何を不満に思っているかなどニーズを探るためです。

●4つの視点が自然に方向性を導く

この結果、各エリアゾーンの特徴が明快になりました。中心駅市街地ゾーンは、買い物は便利ですが、慢性的な渋滞で車での買い物が不便。郊外ロードサイドは,大型店に駐車場の余裕があって便利だが、トラックの往来や気軽に歩いて行くことが出来ない点がネックでした。対して、郊外拠点駅前のこのSCは、駅に近く徒歩でも車でもアクセス出来る点が有利なようです。

競合店舗の評価は、利用頻度で中心駅市街地にあるSCが最も高いという結果でした。ただ、このSCの立地しているゾーンは、他のゾーンのSCへ買い物に行く人が少なく、エリア完結していました。そこで、比較的広域に買い物行動が見られる郊外ロードサイドゾーン周辺の生活者を、足下商圏生活者と合わせてターゲットとすることになりました。

その際の差別化戦略として、2つのエリアの主要店を売場面積、品揃えなど様々な要素から比較対照し、当SCが優れているポイントをピックアップ。加えて、各SCのイメージ評価から自店の認知されている強みをさらに活かしていくマーケティング戦略策定をしました。

店舗コンセプトづくりは、よほどの成長市場でない限り、エリアゾーンや競合店の比較分析から始めます。データを使い多変量解析でポジショニング分析するケースもありますが、ここでは明快な違いが出たため単なる比較分析にとどめました。

●既に決まっていたかのような店舗コンセプト

ここまで分析が進むと、自店が支持されている独自価値や優位点、商圏規模と特徴を活かした方向付けが明確になってきます。合わせて、このエリアゾーンの生活者の買い物環境期待や品揃え期待が生活者調査により明確になっています。こうなれば、最適な店舗コンセプトが、ほぼ自動的に浮かび上がってくるようになります。また、この調査結果がエビデンスとなりコンセプトを関係者に理解してもらうこともスムーズに進みます。

P.Fドラッカーが「既に起こった未来」といったように、この4視点のデータを読み込んでいくと、コンセプトは「既に決まっていた」かのように自ずと浮かび上がって来るもののようです。


ポイント 4つの視点が自然にコンセプトを導く。

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