店舗コンセプトが成功の切り札に。

-単なる調査で終わらせない「店舗コンセプト」への活用例-

 

景気が回復基調に向いていく中、小売・サービス業とも新しい動きがでてきているようです。最近では、秋葉原ワシントンホテルが鉄道ジオラマのある客室を設置したというニュースが記憶に残っています。これは、「なかなか上手い。」という印象です。「近くて、遠い」というのが、コンセプトづくりのテーマです。この例では、「イメージが、おたくの街、秋葉原に近く、機能的なビジネスホテルと遠い遊びがある。」ということです。

今回は調査を単なる調査で終わらせない「店舗コンセプトづくり」に活用した商圏分析の事例をご紹介します。

●個性的な店舗の集まりが面白い。

なぜか足が向いてしまうショッピングセンター(SC)があります。例えば、「トレッサ横浜」。トヨタ・オートモールが核のSCです。そこで「何で?」と考えてみました。総店舗数約220店と小型店が多い。例えば、スポーツ・アウトドアだったら、ゼビオ、エルブレス、LLビーンなど同業種でも様々な店があり比較出来ます。ちなみにイオン系のSCでは大型のスポーツオーソリティがドーンと1店舗。実際、来場者数は2010年5月に117万人で、14ヶ月連続でプラスとなったそうです。

専門店SCやアウトレットは、個性的な店の集積そのものが、大きな集客力です。こういった商業集積では競合差別化が決定的に重要です。そこで、店舗コンセプトが成功の切り札となります。競合関係をプラスに変える力を持つからです。そんな中、

「横浜元町で、新築するビルの事業コンセプトを考えて欲しい。」

と、ある開発会社から、依頼を受けました。


↑横浜元町通り

●コンセプトは、街と近く、競合店と遠い関係づくりをする。

コンセプトワークの前に、まず街のポジション把握が必要です。「街の魅力は何?」ということ。何が人を集めているか。今回の候補地、横浜市街は、街のポジションが明快です。

買い物の利便性なら横浜駅周辺。横浜らしい飲食なら、関内、馬車道、そして中華街。ファッションなら元町。業種のバラエティなら伊勢佐木町。そして、都心的な専門店ならMM21とそれぞれの街のゾーンが明快です。

対象立地は元町です。調べるまでもなくファッション専門店の集積ゾーンです。依頼主が飲食など特定業種の事業会社ではないため、この街の魅力となる業種集積に合わせたポジションを考えました。この集っている業種業態とどれだけ「近い関係」が出来るかです。また、競合店とどう棲み分けをするか。つまりいかに「遠い関係」を創り出すかです。

コンセプトづくりは、街と業種的に同ポジションで、競合店と差別化することです。

●街区調査のフィールドワークから考える。

まずは元町に行き情報収集のフィールドワーク。周辺店舗のブランド揃えや来街者の実態を調べます。元町も、銀座や表参道などと同様、街区によって同じファッション関連の業種でもターゲットやカテゴリーが異なっています。

そこで、店舗を1店1店、街区の区切りである200m程の距離で写真に押さえます。また、街区利用する人たちも写真に押さえます。年齢層とか、性別、またそのファッション、誰と来ているかなどをつかむ訳です。この辺りは、徹底して街を歩き、街の空気感も含めて把握します。

ただ、さりげない情報収集が大切。以前、仕事に熱中するあまり、挙動不審で警察官に職務質問された当社スタッフもいました。この辺りは注意したいところです。

そして、これら街ポジション、街区特徴を統合して、店舗コンセプトづくりをします。

元町全体では、40歳代の来街者が最も多く、60%が月1回は利用する固定客だそうです。しかも、車で来街する顧客の客単価が最も高いという調査結果が出ています。そんな中、この街区は、インポートブランドやジュエリーショップが多いこと。また、来街者も1人で歩いている30~40代の女性が多いことが判明しました。

ここから、この特徴に沿い街区にはないブランドをテナント誘致候補例として抽出しました。同時に売場面積など内部要因から、販売方法も含めてコンセプトワークをしました。

●店舗へコンセプトの効果。

後日、開発会社から不況下でテナントの出店意欲が低い中、このコンセプト提案で

「すぐ、テナントが決定しました。」

という、うれしい報告を受け取りました。店舗コンセプトは、いかにして街ポジションと「近く」、競合店と「遠い」関係を創り出すと言うことに他なりません。このようなコンセプトは、多様性を生みだし、街を楽しく魅力的にするからです。

店舗コンセプトが成功の切り札になりそうです。

 

(2010年7月/ameblo)

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