えっ、こんな場所に出店するのですか

-ハフモデルによる郊外エリア出店成立検証-

●全く需要規模が読めない。みんな半信半疑だった。

現在は、ローカルチェーンとして順調に業績を上げているドラッグストアがあります。その1号店の商圏調査、分析をお手伝いしました。

立地は、郊外(サバーブ)というか、ルーラルと言った方が正しいと思います。とにかく地方の、ターミナル駅から車で2時間弱、現地についた時には、もう日が暮れかかっていました。まさに何もない荒涼としたエリアで、遠くにポツンポツンと、紳士服店やディスカウンターの看板がぼやっと光って見えます。現在は、更地ですが、土地のオーナーが建築をし、それをリース契約するとのことです。結構、ローコストで出店できるらしく、建築の延べ床面積は約100坪という事です。

「ここに、ドラッグストアを開店して、はたして経営的に成り立つか。」と言うことが課題です。需要が見込めれば、初期投資、運営コストの低さから高収益が見込めるはずです。ところが、この立地を見た限りでは、確かに、このドラッグストア経営者ならずとも不安に感じてしまうはずです。ましてドラッグストア業態での1号店です。立ち会った誰もが、「えっ、こんな場所に本当に出店するの。」といった顔をしていました。

●先入観にとらわれてはいけない。「とりあえず売り上げ予測をしてみましょう」。

現地の印象に左右されてはいけません。「とりあえず、現状の条件で、売上予測と事業シミュレーションをしてみましょう。」と言うことになりました。1号店であるから当然の事ながら、既存店のデータはありません。商品的には、コモデティ商品であるコスメティック、トイレタリー、医薬品、雑貨の類のため、「ハフモデル」を使って、売上予測を実施することにしました。

徒歩客は、ほとんど考えられません。また、商品的にも30分もかけて買い物する商品ではないため、車15分商圏を基準に考えることにしました。人口、扱い商品と関連する小売販売額の町丁目データを調べ集計していきました。

●ハフモデル分析の結果、約60坪であれば経営的に成り立つと判明。

商圏内の人口規模はそれほど大きくありませんが、同業種業態の大型店もほとんど無いと言うことが分かりました。こういう競合関係であれば、売り場面積が大きい分、相当の出向人口が期待できることが予想されます。

案の定、商圏内人口の大半を吸引する分析結果となりました。

後は、消費額との関連からビジネス的に採算が合う規模になり得るかと言うことです。扱い商品の消費額と、出向人口からおよその売上を試算しました。郊外型特有のローコスト、ローオペレーションの坪効率で考えると、100坪中約60坪程度は、コスメティックス、医薬品、トイレタリー等で展開可能であることが分かりました。

残りの40坪が、同程度の坪効率で運営できる商品で構成できれば、損益試算上も利益が出る経営が出来るはずです。このようなレポートをまとめ、この経営者に説明しました。

●約1年後、この経営者から「ほぼ初期投資を償却できそうです。」と連絡が入った。

このレポートは、相当、この経営者を勇気づけたようです。結果的に計画を進行することになりました。そして、SI(ストアアイデンティティ)、店舗デザイン、マーチャンダイジングが詰められていきました。

このように、立地を見た印象だけで、判断してはいけません。思いもかけない可能性を発見できる事もあります。

この店舗も無事オープンしたという話は聞いていましたが、なかなか忙しくて、と言うより場所が遠いので店舗を訪問する機会はありませんでした。そして、およそ10ヶ月後位に、この経営者から電話がありました。「おかげさまで、ほぼ1年で初期投資まで何とか償却できそうですよ。」

ポイント
郊外店は、現地の見た印象で判断すると、チャンスを逃すかリスクを負う。

 

(2008年7月/当社業務事例集「エリアマーケティング活用事例集10 出店成立検証編」より)

Follow me!

お問い合わせ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です