リアル店舗の盛衰が鮮明に

-商業の業種視点で見た首都圏駅商圏動向は?-

●物販リアル店舗は、ますます厳しさを増す

最近、シアーズが破産申請というニュースがあったばかりで、小売環境は、特に旧い業態を中心に、ますます厳しくなっていると想定されます。仲間のコンサルタントと話していても、「実際に仕事をしていて物販の衰退が激しい。」と言うことをよく耳にします。

また、長年、出店マーケティングに携わってきた経験から、サービス業、特に人が店舗に行くことを前提とした飲食、美容、スポーツなどの業種が底堅いと考えています。

さて、本当にそうなのでしょうか。実際にデータ分析して検証してみました。

●200駅商圏を、代表的業種で調べて見た

業種対象は、(物販)小売業全体、また人が行くことが前提のサービス業。これは、ブランド力と関連する飲食店や美容室、および身体そのものが対象の健康・スポーツ教室としました。

対象エリアは、首都圏乗降者数上位200駅、駅1km圏です。データは、最新の2014年に更新された商業統計、経済センサス500mメッシュデータを使いました。そして、検証方法は、業種別平均増減数と、その分布(ヒストグラム)で検証してみました。

●業種の強弱、駅商圏の勝ち負けが鮮明に


まず、対象業種の首都圏乗降者数上位200駅の約7年間での各業種の店舗増減数平均を算出してみました。特に小売業、飲食店の店舗数減少が100店舗を超えて大きくなっています。サービス業は、美容室カテゴリーである洗濯・理美容・浴場業(以下、美容室)は、3店舗程度のマイナス、スポーツ関連
はプラスとなっています。想像通り物販は厳しい状況のようです。
注)美容室は、経済センサスで単独のデータ区分がなく洗濯・理美容、浴場業の大半を占めるとしました。

 


それぞれの標準偏差で、バラツキを見ると飲食店、美容室のバラツキが大きくなっています。想定通り、街のポジションで勝ち負けエリアが出ていると思われます。

店舗数の増減数分布はどうなっているでしょうか。(物販)小売業、美容室、スポーツ・健康教授業をピックアップして、業種別にヒストグラムで確認してみました。

●ほぼ全敗状況で厳しい物販小売業


ヒストグラムを見ると、グラフ上、赤の線で示した0以上店舗数が増えている駅商圏が数駅で、0から-250の店舗減に集中しています。ほぼ全敗状況と言えるでしょう。最大値も29店舗増と少なくなっています。

●勝ち負けが2分される美容室

 美容室は、増減数平均が-3店舗で、やや減少側が大きな分布となっています。勝ち負けがエリアでハッキリしてきたと言えるでしょう。箱ひげ図で見ても、サンプルの半分が入る四分位範囲が-15から10の間となっています。

●店舗数成長しているスポーツ・健康教授業


平均増減数、約3店舗で全体的にプラス側に拡がった分布となっています。概ねエリアに関係なく成長している業種です。

●業種によって対応は大きく異なる

結論的には、想定通り小売業はほぼ全敗。街ブランド(ポジション)に左右される美容室、飲食などの業種は勝ち負けエリアが鮮明になっています。健康・スポーツ教室業種はエリアを問わず強いという結果となりました。

物販は業態革新が必須になるようです。体験性などその店舗に行かなければ得られないデスティネーション性が高いコンセプトが必要です。身近な例では、カルディコーヒーファームの試飲など、体験性が特徴の業態です。

街ブランドと関連がある飲食・美容室は、これからますます街選びが必要とされます。特に飲食は、都心部でオーバーストア状況、対して郊外拠点都市に可能性があると推察されます。(飲食店は、過去記事「都心の飲食店集中もいよいよ限界か?」参照)

健康・スポーツ関連は、事業所や住宅立地、居住者の年齢構成など商圏特徴を見極めれば、都心、郊外を問わずチャンスが大きい有望な業種と言えます。

このように、業種によってマーケティング課題は大きく異なります。小売業は、業態開発など消費者行動に合わせた内部要因のイノベーションが必要ですし、飲食業、美容室は、自社の特徴に合ったエリア(駅)選びがポイントになります。スポーツ・健康関連業種は、出店エリア特徴に合わせた業態(コンセプト)を考慮すれば、可能性はさらに高まると言えるでしょう。

商業も、eコマースの浸透、高齢化、商圏立地の多様化など様々な要因で、今後、大きな変化が起こってきそうです。ただこのように、ある程度、実態を踏まえておけば具体的な対応策につながるのではないでしょうか。

(ameblo 2018.10)